メモアプリ、何個試したかもう覚えていません。Apple純正メモ、Evernote、Notion、Obsidian。どれも良いアプリです。でも結局、同じ結末を迎えます。
スマホでSNSやRSSを読んでいて「これは後で絶対読みたい」と思った記事をメモに突っ込む。その瞬間は満足するんですよね。保存した、あとで読める、という安心感があります。
でも、その「あとで」は永遠に来ません。
そこで、スマホで見つけたURLをPCへ自動転送するChrome拡張「QR Send」を作りました。QRコードでペアリングするだけ、アカウント登録もサーバーも不要な無料の拡張です。
メモは埋もれる。開かなければ意味がない
理由は単純で、メモアプリを開くという行動自体を、自分からしないからです。メモは増える一方で、埋もれていく一方。気づいたら「あとで読む」フォルダは記事の墓場になっています。
これ、メモアプリが悪いわけではないんですよね。どのアプリも保存する機能は完璧です。検索も便利だし、タグも付けられる。問題は保存した後、自分がもう一度そこを見に行くかどうかにかかっている。そして大抵の場合、見に行きません。
じゃあどうすればいいのか。保存する場所を工夫するのではなく、自分が見に行かなくても、勝手に目に入ってくる仕組みにすればいいはずです。
PCを開いたら、もう目の前にある
私は仕事柄、朝は必ずPCを立ち上げてChromeを開きます。これは習慣なので、忘れることはありません。
だったら、スマホで「後で読みたい」と思ったページを、PCを開いた瞬間にChromeのタブとして自動で開かれる状態にしてしまえばいいのではないか。そう思って作ったのが「QR Send」という拡張です。
やることはシンプルです。
- PCのChromeで拡張のQRコードを表示する
- スマホでQRコードを読み取ってペアリングする
- スマホでURLを送ると、PCのChromeで自動的にそのURLが開く
メモアプリのように「あとで自分で見に行く」のではなく、次にPCを開いた瞬間に、有無を言わさずタブとして開いています。これなら見逃しようがありません。
ここでのコツは、後で読みたい記事や投稿を見つけたらURLとして送ることです。QR SendはURL以外にテキストメモも送れますが、PCのタブとして強制的に開かれるのはURL(と画像)だけです。テキストだけを送った場合は拡張のタイムライン(履歴一覧)には残りますが、タブは開きません。読ませたい記事や投稿があるときは、URLを送っておくのが確実です。
デバイス間共有が嬉しいのはおまけで、本質は「強制力」
QR Sendを人に説明すると「スマホとPCでURLを共有できるツールですね」と言われることが多いです。間違いではないのですが、正直なところ、それはおまけです。
似たようなことができるサービスは他にもあります。クラウドの同期メモ、共有クリップボード系のアプリ、ブラウザ純正のタブ同期機能。どれもデバイス間でURLを送ること自体はできます。
でも、それらは全部「見に行けば見える」状態止まりなんです。QR Sendの最大の価値は、そこではありません。Chromeのタブとして自動で開かれるという一点にあります。
タブというのは無視しにくいものです。メモアプリの中の1件と違って、開いた瞬間に画面を占領します。閉じるか読むかの二択を強制されます。この「強制的に読ませる」という乱暴さこそが、後で読むはずだったページを本当に読ませてくれる一番効く方法だと今のところ思っています。
アカウント登録もサーバーも要らない設計にした理由
「強制的にタブを開かせる」というコンセプトを思いついた後、次に悩んだのはペアリングの方法でした。
普通に考えれば、アカウントを作ってもらってサーバー経由で同期する形が定番です。でも、それをやると「メールアドレスを入力する」「パスワードを決める」という手間が発生します。後で読みたいURLを1本送るためだけに、です。
これは本末転倒だと思いました。QAエンジニアとして自動テストの仕事をしていると、認証まわりの摩擦がユーザーの離脱に直結する場面を何度も見てきています。今回、自分がユーザーになる番だったので、この摩擦だけは絶対に持ち込みたくありませんでした。
そこで、Chrome拡張が表示するQRコードをスマホのカメラで読み取るだけでペアリングが完了する方式にしました。メールアドレスもパスワードも要りません。個別のアカウントもCloudflare Workerのようなバックエンドも不要です。QRコードを読み取った瞬間に、そのスマホとそのPCが直接結びつきます。
正直、これでセキュリティ的に十分なのか、もっと厳密なペアリング方式にすべきなのかは今も考え続けています。ただ、今のところ「後で読みたいURLを送る」というリスクの小さい用途には、これくらいの気軽さがちょうどいいと感じています。
iPhoneショートカットと組み合わせるとさらに楽
QR Sendは共有シートからも送れるようにiPhoneショートカット連携も用意しています(手順はこちら)。ブラウザやSNSアプリの共有ボタンから直接送れるので、コピペしてどこかに貼り付ける手間もありません。
「共有」を押して「QR Sendに送る」を選ぶだけ。あとは忘れてPCを開くのを待つだけです。
メモアプリを否定しているわけではない
誤解しないでいただきたいのですが、メモアプリ自体が不要だと言いたいわけではありません。長期的に参照したい情報や、体系立てて整理したい知識は、今でもNotionやObsidianを使っています。
QR Sendが担当しているのは、もっと短命な情報です。「今すぐ読みたいわけじゃないけど、今日か明日には読みたい」という、賞味期限の短いURL。この種類の情報は、整理された箱に入れた瞬間に死んでしまう気がしています。整理せず、強制的に目の前に突きつける方が生き残ります(この感覚が自分だけのものなのか、他の人にも当てはまるのかは正直わかりません)。
QR Sendは無料のChrome拡張として公開しています。同じように「あとで読む」が墓場になっている人がいたら、ぜひ試してみてください。
代替案やこういう使い方をしているという話があれば、コメントで教えてもらえると嬉しいです。


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